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2020年の教育改革からすでに2年が経過。ご存じでしたか?

2020年の教育改革からすでに2年が経過。ご存じでしたか?

いまCHESでは、入園説明会の準備を始めています。実はCHESで入園説明会を開催するのは設立以来12年間で初めての試みです。参加される保護者の方々にお伝えしたいCHESの魅力が山ほどあり過ぎて、まだ内容がなかなかまとまりません😊

しかし、なぜこの時期に説明会を開催しようと考えたのか、その理由は明確です。

幼稚園・小学校から順次変更されてきた2020年の教育改革からすでに2年が経過。2022年に高等学校まで一貫して改革が実施されてきたのですが、乳幼児のお子さんをお持ちの保護者の方にとって、教育改革の内容はあまり実感されていないのではないかと感じる機会が多くなっているからです。

お子さんがこれから数年後、実際に経験していく学習内容や目標は、保護者の方々が経験してきた内容とは様変わりです。「英検対策」にも書いた通り、特に英語の学習内容については、大きく変化しています。

小学校から授業に「英語」を導入。その目標は?

まず、小学校3年生から英語の時間が導入されました。また中学校でも英語の授業時間のコマ数が増えています。小学校から中学までの義務教育の英語の授業時間をまとめてみると、こんな感じになります。

一般的な公立学校では、小学校3年生から中学の3年間まで、つまり7年間を通して472.5時間を英語の授業時間として確保することになりました。総時間ではイメージしにくいので、もう少し分かりやすいように計算してみると、1日平均にして、11分程度の英語の授業時間です。

ところで、この教育改革によって、小学校から英語の授業の導入を始めた文部科学省は、どのような目標に向かおうとしているのでしょうか。

2002年の「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想によると、その達成目標としては、中学校卒業段階では、英語での挨拶や応対などの平易な会話(同程度の読む・書く・聞く)ができる(卒業者の平均が英検3級程度)。

そして、高等学校卒業段階では、日常の話題に関する通常の会話(同程度の読む・書く・聞く)ができる(高校卒業者の平均が英検準2級〜2級程度)と想定しています。

【参照】平成14年「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想の策定について

2021年度の調査では、政府目標に届かず

2002年に戦略構想が策定されてから約20年経過。はたして「英語が使える日本人」は順調に育成されてきているのでしょうか。

2021年度「英語教育実施状況調査」の内容を要約すると、「国際的な語学力基準「CEFR」A1レベル(英検3級)相当以上の英語力を持つ中学3年生の割合は47.0%。

A2レベル(英検準2級)相当以上の高校3年生は46.1%。2007年度調査と比べると、中学3年生で3.0ポイント、高校3年生では2.5ポイント上昇していたのですが、政府がグローバル人材を育成のため「英語が使える日本人」の目標とした50%には届いていません。

【参照】令和3年度公立中学校における英語教育実施状況調査(文部科学省)

しかし、ここで素朴な疑問が。

そもそも、7年間でわずか「472.5時間」、1日11分程度の英語の学習時間で、政府が目標としている「英語が使える日本人」は、本当に達成可能な目標なのでしょうか?

足らない時間を誰が? いつ? 埋める?

実はこれまでの学習指導要領でも、小学校での英語教育は実施されていました。文部科学省の調査によると、2006年には95.8%もの公立小学校で何らかの英語活動を実施していることがわかっています。

CHES「アフター・クラス」の相談に来られる保護者の方にお子さんの英語経験についてお聞きすると、保育園や幼稚園で週1回は英語の時間があり、外国人教師との交流もありましたという回答も増えてきています。

【参照】「小学校英語活動実施状況調査(平成18年度)」の主な結果概要(文部科学省)

もちろん、このような取り組みが、効果がないわけではないでしょう。しかし、政府が目標としている「英語が使える日本人」、中学生卒業時点で英検3級程度の英語能力を身につけるためには、もっと根本的な課題が残されていると思います。

学習時間の「総量」の課題

まず、学習時間の総量の問題です。「英語を使える日本人」になるためには、いったいどれくらいの学習時間が必要なのでしょうか。

ここですぐに思い浮かぶのが、心理学者のアンダース・エリクソン教授らが1993年に発表した「1万時間の法則」。ある分野で成功するには、1万時間もの練習・努力・学習が必要だというものです。

音楽アカデミーでバイオリンを専攻、ソリストとして国際的に活躍する力があるとみなされた学生の練習時間の総量を調査したところ、20歳までに合計1万時間の練習を行っていたのだそうです。すごい!

【参照】Anders Ericsson: How to become an expert at anything – Business Insider

一流のスキルを身につける練習量とは、さすがに単純に比較、参考にはできないので、もう一つの知見をご紹介します。

米国国務省付属機関、FSI(The Foreign Service Institute)が職員向けに他言語を学ぶ授業時間の目安として公表しているのが「2,200時間」。英語が母語の職員が日本語を習得するために必要な授業時間としています。FSIの日本語を学ぶ授業は、他言語を学ぶ授業と比較して、最も時間が必要とされている授業なのです。

【参照】FOREIGN SERVICE INSTITUTE Foreign Language Training

この例も、国務省の英語ネイティブのエリート職員が日本語を学ぶ時間なので、単純に比較はできないですが、日本語ネイティブが英語を学ぶ時間と置き換えれば、参考にはなるかもしれません。

一般的に日本の「社会人」が英語を話せるようになるまでには、1,000時間の学習が必要と言われていますが、CHESを運営してきた経験では、就学前の「プリ・クラス」の園児は、4月入園から夏ごろまでのおおよそ500時間前後で、英語での(読む・書くは別として)コミュニケーションがある程度問題なくなるというのが実感としてあります。

「プリ・クラス」の平均的な園児の例で考えてみると、言語の発達段階にあわせながら、1日5時間、年間48週、1年間で1,200時間5年間で6,000時間、英語の環境で2歳から卒園まで過ごしています。

【参照】CHESがLiteracy「読み」「書き」にも、こだわる理由

いずれにしても、一般的な公立の小学校から中学校にいたるまでに提供されている7年間で472.5時間の授業時間では、目標に届くための学習時間としてあまりにも短く感じます。

学校以外? 家庭学習? 学習塾?

授業の絶対量が足らないとなると、学校以外で中学卒業までに英語を学ぶ必要がありそうですが、小学生になると、バレーやサッカー、水泳などの習い事、学習塾も気になります。やがて中学生、部活動も忙しくなり始め、高校受験も気が気ではなくなります。では、家庭学習? 学習塾? それとも英会話教室?

なによりも気になるのは、やはりその費用。2018年の文部科学省の学習費調査の結果から表にまとめてみましたのでご参照ください。

【参照】平成30年度子供の学習費調査の結果について(文部科学省)

そして、もう一つの課題。限られたお子さんの時間の中で、いつから英語学習を始めるのがいいのでしょうか。

英語を始めるタイミング

英語は何歳から?」の繰り返しになるのですが、第2言語を「いつ」始めるのが適切なのかについては、実は明確な答えはありません。しかし、始めるべきではない時期については、専門家の間でほぼ意見が一致しています。それは9〜13歳。この学齢は母語の固定を最優先すべきだと。

諸説あるものの、経験的にはCHESに2歳ごろから「プリ・クラス」に入園、英語の「聞く」「話す」だけではなく最低限の「読み」「書き」の4技能が習得できていると、卒園後、小学校低学年で「なんとなく」英検3級に合格していきます。

仮説とはいえ、言葉を無理なく吸収できる幼児期の「臨界期」というのはやはりあると、CHESを12年間運営してきた経験からの実感はあります。

内閣府の「先行研究の収集・評価」にも「臨界期」について次のような記述があります。

「習得に臨界期の制約を受ける学習事項も存在する。これは同じ経験・学習をしても、幼い頃とより成長してからでは、学習が成立する仕組みが異なるからである。」

【参照】日本の子供の貧困に関する先行研究の収集・評価(内閣府)

学習内容が変れば、テストも変わる。親の心配も変わる?

学習内容が変化している以上、場合によっては中学入学時、おそくとも高校・大学受験で必ず経験しなければならないテスト内容も当然変わってきます。

英語でのわかりやすい変更点について、大学共通テストの例をあげると、「英語を話す技能も評価基準に加わる」、「アクセント問題は消滅」、そして「リスニングの配点が50点から100点」になったことです。

ここでは、実際に高校受験を経験した卒業生のママからの声も紹介したいと思います。


卒業生Kちゃんママからの嬉しいメールから抜粋

CHESで英語をキープできたのは大きかったです。何より楽しく学べて。特に中学時代は、英語は単語を少し見るだけですませ、定期テストのための学習時間を大の苦手の数学の時間につかうことができたのでありがたかったです。

そして英語の試験は長文問題が多く解答時間が足りないと、ネット上にはたくさん書かれていたのが受験した高校の入試でした。実際の試験を終えた娘によると、10分は時間があまったそうです。もちろん、見直しもして。きっとCHESの生徒は長文問題が増えればふえるほど、他の生徒と差がつけられます。

卒業生R君ママからの嬉しいメールから抜粋

今までやってきた効果を最も感じたのは、入試問題は年々文章量が増える傾向にあり、リスニングの問題スピードも上がってきています。長文読解、リスニングの力は練習量に比例するものだと感じていますが、既に英検2級を取得していたこともあり、その部分については本人も十分強みに出来るという自信をもっており、学校や塾の授業以外で特別な準備をすることなく受験に臨むことが出来ました。


同じ学習内容であれば、学び始めるタイミングも言葉を無理なく吸収できる幼児期の臨界期を活かして、時間も努力もできるだけ無理なく学ばせてあげたいと思うのが、親心ですよね。

このように受験の内容が変っている以上、保護者の方々が経験してきた学習方法の成功体験は、いったん内に秘めて、お子さんの成長過程とともに、一緒に学び直すくらいの気持ちがいいのかもしれません。

親の考え方を新しいフォーマットに切り替えることができれば、子どもはすぐに変わることができます。これは体験済みです。私の場合、20数年前、日本の一般的な「幼児教育」や「英語教育」の価値観が、シンガポールでの滞在経験で見事に吹き飛んでしまいましたから。

【参照】私の育児経験を振り返って(4)

教育改革の背景は、想定される未来の社会変化。

これまで、英語の科目の変化について書いてきましたが、最後に教育改革の背景と全体像のイメージを私なりにまとめておきます。

  1. 「10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業が機械によって代替される可能性が高い(野村総合研究所)
  2. 「今の子どもたちの 65%は、今ない職業に就く」(ニューヨーク州立デューク大学キャシー・デビッドソン大学院教授)
  3. 「10~20 年後、約 47%の仕事は自動化される」(オクスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授)

このように変化が激しいと想定されている未来をどのように生きていくのかを、自分自身で考え行動しなければならない。新学習指導要領のキャッチコピーは「生きる力 学びの、その先へ」です!

本当に「よりよく生きていくために必要な能力」を育てるための教育改革(であって欲しい!)。

そして一言付け加えさせていただくと、CHESとしては「生きる力 英語で学び、その先へ」です!

幼児期の重要性は、言葉の臨界期だけではない。

では、その「よりよく生きる能力」とは? 「ライフスキル」とともに最近よく注目されているのが、「非認知能力」です。

これまで英語の学習内容について書いてきましたが、「英語」など学力テストで計れる能力を「認知能力」、学力テストでは計れない能力を「非認知能力」としています。OECD(経済協力開発機構)では、「社会情動的スキル」と表現されています。

目標に対して意欲や興味を持ち、周囲と協力しながら粘り強く取り組む力や姿勢」と考えられています。ライフスキルとも重なるイメージですよね。

【参照】Fostering Social and Emotional Skills – OECD

この「非認知能力」は、シカゴ大学の労働経済学者、ジェームズ・J・ヘックマン教授の「ペリー就学前プロジェクト」などを根拠にした研究発表が2000年にノーベル経済学賞を受賞し、教授が「5歳までの環境が人生を決める」と断言したことでも注目を集めています。

この「ペリー就学前プロジェクト」の結果を要約すると、幼児教育を実施したグループの方が、学業上での成功、経済的な成功、社会的責任を果たすなどの人生における長期的な成果に優れた結果を出していたのです。

しかし、このプロジェクトの注目点は、IQや学力テストの結果は幼児教育を実施したグループで一時的に上昇していたのですが、8歳前後には大きな差がなくなってしまったという点。

では、どのような能力が社会経済的な成功や社会的責任を果たすなど長期的な成果に優れた結果を出していたのか。別の研究者(ヘックマン教授は経済学者なので)が心理学的な方法で数値化したところ、プログラムを受けた子どもたちの「非認知能力」が育っていたことが分析されたのです。

【参照】「幼児教育の経済学」(著)ジェームズ・J・ヘックマン(出版社)東洋経済新報社

「生きる力 英語で学び、その先へ」

これらの研究から「非認知能力」は、幼少期から育ちやすく、そして将来の学業上での成功や経済的な成功に影響があることが理解できるので、「ライフスキル」を一つずつ確認したのと同じように、CHESの日常の活動とどれくらい関連するのかを確認してみたくなりました。

「非認知能力」の具体的な能力が何かということについては、いろいろな考え方があるようですが、主な要素は、次の3つの要素と考えられています。

  1. 「長期的目標の達成」にかかわる力
  2. 「他者との協働」にかかわる力
  3. 「感情の管理」にかかわる力

【参照】令和3年度文部科学省委託「非認知能力に関する保育·幼児教育施設の意識や取り組みと園児への影響に関する調査研究」

これら3要素とかかわりが強いと思われる活動を表にまとめてみることにしました。

CHESの教室は、1歳半から6歳までの学齢差がある子どもたち、教師を含めると全員が異文化、他言語をベースにしています。このような教室内で、全員が楽しく学び、過ごすためには、「長期的目標の達成」にかかわる力、「他者との協働」にかかわる力、そして「感情の管理」能力を経験的に育む必要があったのだ思います。

また、これらの活動を支えているのが、バイリンガル環境で大切に育まれる「コミュニケーション・スキル」なんだろうなと感じることもできました。

しかし、英語という語学能力はあくまでも「認知能力」です。このようなテストで計れる「認知能力」と、テストで計れない「非認知能力」とは、互いに補いながら機能し、非認知能力が伸びれば認知能力の発達を促すことがわかっていますが、しかしその逆、つまりIQや学力テストの結果など認知能力が伸びたからといって、非認知能力の発達を促すことはないと考えられているのです。

ここは、本当に要注意ですね。幼児期に「英語を」学ぶだけでは「非認知能力」の発達を促せない。

教育改革が、従来の偏差値を基準に評価する学力から、よりよく生きていく能力や姿勢を評価する方向に変化している背景も、まさにここなのでしょうね。

英語も従来の「読む・書く」能力から、「聞く・話す」能力、さらに「話す」から1歩踏み込み、「やり取り(discussion)」・「発表(presentation)」が重視され始めたのもうなずけます。しかし「やり取り」「発表」の学習は、本当に一朝一夕にできるものではありません。日本語でさえ、大人になっても難しいですよね。

【参照】幼少期の家庭環境、非認知能力が学歴、雇用形態、賃金に与える影響‐独立行政法人経済産業研究所

CHESで幼児期から英語の語学力とライフスキルをあわせ持つ「英語力」を身につけ、数年後、十数年後にキラキラ輝く瞳を持って自分の意思で1歩を踏み出していく子どもたちの「非認知能力」を育むためにも、「英語を」学ぶスタイルではなく、これからも設立以来経験的に続けてきた「英語で」学ぶスタイルを大切にしていきたい。

CHESで大切にしてきたフレーズ、まさに「Play, Learn,  Grow Together!」です。

教育改革を機に、幼児教育の重要性に注目が集まり、「非認知能力」や「ライフスキル」などさまざまな研究成果が増えてきていることは、本当にありがたいことです。

そういえば、ヘックマン教授は「5歳までの環境が人生を決める」と話されていましたが、日本には古くからことわざがあるのを、すでにみなさんご存じですよね。

「三つ子の魂百まで」
「雀百まで踊り忘れぬ」

1歳半からのお子さんの幼児期の貴重な時間を将来にむけてしっかり活かしてあげたいとお考えのお母さん・お父さんと、CHESでお会いできるのを楽しみにしています。

International Preschool CHES
Deputy head teacher
幼稚園教諭一種免許/保育士資格
小学校英語指導者資格
(Elementary School English Teaching License)
Masami Morimoto

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