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2010.06.07

子育て

私の育児経験を振り返って(1)

突然、シンガポールへ

「CHES2010年サマー・クラス」、9月からの「CHESインターナショナル・プリスクール」のリニューアル・オープン、そして、「CHESシンガポール親子留学」について、たくさんのお問い合わせをいただき本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。

お問い合わせいただいた育児現役ママの方々とお話しさせていただきながら、私自身も、ほんの5年前、シンガポールでの育児経験をするまでは、みなさまと同じように、幼い2人の息子のために、いましか経験できない「なにか」を一生懸命探していたことを、まるで昨日のことのように思い出させていただいています。

まだ、育児から完全に卒業させてもらったわけではないのですが、ここまで、2人の息子は、おかげさまでトライリンガルとしてすくすく成長してきました。

この機会に、なぜ、私がCHESを立ち上げたい! と感じるようになったのかを私自身再度確認するためにも、私の育児経験を振り返ってみようと思います。

当時の私と同じように、幼い子どもたちのために、「いま」しか経験できない「なにか」を一生懸命探してるママやパパたちに、私自身の育児経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。

なにしろシンガポールへ行くことになったのは、突然! でした。2004年の年末のことです。当時、私の両親は、シンガポールへ海外赴任中だったのですが、母の体の調子(血糖値400!)が思わしくないという連絡があったのです。

その知らせを聞いたとき、2人の息子は、7歳と4歳。彼らはすぐに、「僕らが、サポートに行こう!」と言い出しました。2人の息子にとっては、生まれて間もない頃から、ホリデーのたびに、「実家」のあるシンガポールと行き来していたわけですから、おそらく少し遠い私の実家にしばらくの間、帰ることぐらいにしか思っていなかったのでしょう。

ただ、今回の「しばらく」の期間は、いままでのような「旅行者」ではなく、「生活者」です。親としては、かなり考え込む部分もありました。とにかく、まず、「言葉の壁」が大きいです。私は学生時代から、英語は得意ではありません。主人も全然です。子どもが生まれてから、なんどか行き来するようになり、英会話の必要性に迫られ、ようやく「日常英会話用のCDセット」で、勉強し始めていた程度でした。


当時の様子1(2005年のBlogに、次のように綴られています)

「でもなぁ、遠いよなぁ」、「子どもたちの学校のこととかは?」と、行動を選択しかねている親を尻目に、子どもたちは、とても簡単。

「みんなで、シンガポールに行ったらえーやん!」、「だって、グラン・マが困ってんねんやろ!」、「助けに行こうや!」。最後は、4歳児が、小さな親指をたてながら、「Good choice system!」と、ニヤリ。これをきっかけに、このようなカタチの生活がスタート。

「それ、どこかの英会話スクールのキャッチ・コピーやろ」とか、「きみの幼稚園を心配してんねん!」とか言う間もなく、現在に到る。


こうして、主人をしばらく日本に残して、私と2人の息子達はシンガポールへ行くことになりました。

シンガポールの学校は、1月からスタート。学齢も暦どおりです。年末に到着したのはいいのですが、たちまち、長男の入学手続きに奔走しなければなりませんでした。長男は、日本で言えば「早生まれ」の小学2年だったのですが、シンガポールでは「新1年生」扱いなのです。

シンガポールも、日本と同じ義務教育の国。次男は、まだ4歳だったので、プリスクールやチャイルド・ケアセンターなどの選択肢もあるのですが、7歳の長男が、学校に通わないことは許されません。年末(シンガポールでは、日本でいう年度末)ぎりぎりになっても、まだ入学先の小学校が決まっていないなんてことは、あり得ないのです。

私は、手当たり次第、小学校(国立)に電話をかけ、なんとか、1校だけ入学の許可をいただくことができました。当時の私の英語力で、ですよ。いまとなっては、どのように説明したのかさえよく覚えていません。入学の「交渉」なんてできるわけでもなく、とにかく、「私の息子には、小学校が必要だと」ということだけを何度も(叫んでいたかも)説明したことだけは覚えています。次の日は大晦日、2004年12月30日のことでした。


当時の様子2(2005年のBlogから)

日本にいると、外国人の生活があまり身近でなかったので、全然考えたこともなかったけれど、長男の学校の様子を聞いていると、お父さんが母国で仕事をして、お母さんと子どもだけで入国するというのは、シンガポールではあまり珍しくないようだ。

周辺の国の事情を考えると、シンガポールの教育水準は高いので、この教育環境の確保を目的にしているそうだ。お父さんはマレーシア・台湾・中国、インドネシアとか、聞けば聴くほどいろいろな友達がいるみたい。不思議な感じ。日本でいう、公立の小学校なのに・・・、同じ公立小学校で、義務教育という「シクミ」は同じ。

ただ、この「義務教育」という、「義務」の考え方は、少し様子が違う。むこうでは、入り口が「義務」であって、出口は「義務」ではない。つまり、求められた学力を達成できなければ、まず、落第。一定の猶予期間を過ぎても、達成できなければ、退学。逆に、飛び級みたいな制度とかもあるらしい。16歳でイギリスの大学受験し、そのまま留学した子どももいたとか。

それより、そんな教育環境のなかで、こうやって情報をとってきているということは、子どもたちは、学校でちゃんとコミュニケーションできているということ? それが一番不思議。

でも、たとえば長男が、その友だちに、自分の父親のことをなんて説明しているのかを考えると少し恥ずかしい気がする。もしかしたら、アジアの大富豪!の跡取り息子にむかって、「うちも一緒やねん!お父さんは日本で会社があるから、シンガポールには、こられへんねん!」と、キッパリ説明しているかもしれない。

そんな光景を想像するだけで…余計に熱が上がる。


長男の入学を気持ちよく受け入れていただいのは、海外からの留学生が多く、なかでも比較的チャイニーズの方が多い学校だったのです。実家から遠かった(←といっても、電車で20分ほど)ので、慣れないMRT(地下鉄)に乗り、7歳の少年が毎日(7時30分スタート)朝早くから通うのには不便でしたが、結果的に、この環境が、長男にとっては、幸いしました。他からの留学生が多いことで、長男は、かえって居心地がよかったのです。


当時の様子3(2005年のBlogから)

シンガポールといえば、公用語が英語なので、英語さえわかればOKかといえばそうでもなく、人口の7割を華僑の方が占めているので、日常のコミニュケーションには、中国語もかなり重要といえそうです。この環境に、一番馴染んでいるのが、もうすぐ8歳になる長男です。

彼は、日本にいる時にチャイニーズ・スクールを選択していた関係で、約2年ほど中国語を勉強していました。最初はかしこまっていたものの、買い物に行ったお店のおばあちゃんに中国語で「ありがとう」と言った瞬間、おばあちゃんの口から中国語が飛び出し、その言葉に反応して、彼が水を得た魚のように中国語で返答するから、お互い大騒ぎです。

おばあちゃんにすれば、わけのわからない日本人、しかも幼い子どもが突然中国語を喋りはじめたので大感激! でも、まわりにいる僕と妻は、完全に置いてきぼりです。結局、おばあちゃんは、長男とさんざん喋りまくり、次に、「息子が中国語を喋られるのに、なぜ親が喋られないの?」と、僕たちに問いただす始末。でも、なんだかすごく感動してくれて、両手を握って、「いい息子だ」と、さかんに褒めてくれました。

後で、長男にどんな会話の内容だったのか聞いてみたのですが、「う~ん。ほとんど分からんかった!」と涼しい顔で答えてくれました。「でも、少しだけ、分かったとろもあんねんで」と。もしかしたら、僕が思っている「コミュニケーション力」というものは、根本的になにかが間違っているのかもしれません。


シンガポールに行くまでは、無理強いすることなく、息子たちがやりたいように、のん気に子育てしていたので、大きなストレスがかかるのではないのか? と、かなり心配でした。

小学校の授業は、当然「英語」で進んでいきます。私がサポートできるわけでもありません。少なくとも日本語は、一切通用しない環境で、果たして、長男は、本当に学校に馴染めるのか? 授業についていけるのか? 友だちはできるのか? などなど、大きな不安を抱えたまま、私と2人の息子のシンガポールでの育児体験は、こうして始まったのです。

私の育児経験を振り返って(2)へ続く


2006年以降、ホリデー・クラスからスタートしたインターナショナル・プリスールCHES。その後、認可外保育園として設立、運営をしながら2人の息子の育児をしてきました。

当時のCHESの運営内容や育児状況などを「はてなBlog」にUpしていたのです。古い画像データを整理している際、過去のBlogデータも見つけることができました。当時、私なりに一生懸命育児にたずさわってきた様子が懐かしくて、「育児」カテゴリーの一部に再Upしていくことしました。

「せめて語学力だけでも身につけて欲しい」と、大学受験までに英検準1級、中検3級まで育ててきた息子たちは2人そろって「会社員になる才能はない」「バスケを穏やかに続けたい」と宣言、進路指導の忠告も聞かず、文系ではなく理系の学部へ進学。「国家試験浪人だけは、絶対やめてね」と、いまなお相変わらずハラハラどきどきしていますが、これも「親心子知らず」なのでしょう。

すでに10数年経過し、いま振り返ってもドタバタした子育てでしたが、現在、当時の私と同じように、子どもたちには「幼い間に無理せず語学力を身につけて欲しい」と、一生懸命育児にたずさわっているママ・パパたちに少しでも楽しんでいただければ幸いです。

International Preschool CHES
Deputy head teacher
幼稚園教諭一種免許/保育士資格
小学校英語指導者資格
(Elementary School English Teaching License)
Masami Morimoto